インボイス制度はフリーランスエンジニアにどんな影響を与えるか

公開日:2023/10/15

インボイス制度

2023年10月に導入されるということで耳にすることが多くなってきた「インボイス制度」ですが、そもそもインボイス制度とはどのような制度なのでしょうか。また、フリーランスエンジニアという働き方に対してどのような影響があり、制度施行前に何をやっておくべきなのかここでは紹介したいと思います。

インボイス制度とは?

それではまずインボイス制度とはそもそもどのような制度なのか紹介したいと思います。インボイス制度とは、2023年10月からはじまる複数税率に対応した、消費税の仕入税額控除の方式のことを指します。

そもそも消費税の納税は、売上で受け取った消費税額から仕入や経理あどで支払った消費税額を差し引いて計算しています。すなわち、仕入や経費等で支払った消費税を、売上で受け取った消費税から差し引くという仕入税額控除により計算しているのです。

2023年10月にインボイス制度がはじまると、この仕入税額控除をするためには、仕入先が発行したインボイスと呼ばれる適格請求書を保存しておくことが求められます。このとき、仕入先が適格請求書を発行するためには、税務署に対して適格請求書発行事業者になるという登録をする必要がでてきます。

仕入先がこの登録をしない、すなわち適格請求書発行事業所にならない場合、当該事業所から購入している会社では仕入税額控除を行うことができず、納税する消費税が多くなってしまうということが起こります。

つまり取引先が適格請求書発行事業所であるかどうかによって、納税額が変わるということが今後起こってくるのです。

フリーランスエンジニアにどんな影響があるのか

ではこのインボイス制度はフリーランスエンジニアにはどのような影響があるのでしょうか。具体的な影響についてお伝えする前に「免税事業者」についてもお伝えしておきます。免税事業者とは、消費税の納税義務のない事業者を指します。

基準期間における課税売上額が1,000万円以下なども条件によって判断されます。なお、適格請求書発行事業者として登録すると、課税売上高1,000万円以下の場合でも免税事業者ではなく、消費税の申告・納税が必要になる課税事業者となります。

適格請求書が発行できない、つまり、課税売上高1,000万円以下で免税事業者となりうる場合であったとしても、適格請求書発行事業者に登録しないときには、取引先からすると仕入税額控除ができずに納税額が増えてしまうことから、取引先企業からの仕事が減ってしまう可能性があるというリスクがあります。

なぜならば、取引先からすると仕入課税控除が可能な適格請求書が発行できる事業者と取引をした方が、納税額を抑えることができるからです。ただし、お互いに免税事業者同士での取引の場合には、お互いに消費税の納税義務がないので影響は少ないといえます。

しかしながら取引先の取引先が免税事業者でない場合には、取引先を変更するリスクは抱えることは変わらないので、サプライチェーンの中で何かしらの影響はでてくることになるといえるでしょう。

インボイス制度の施行前にやっておくことは?

それではフリーランスの方が、インボイス制度の施行前にやっておくことはどのようなことになるのでしょうか。ここでは大きく3つのステップでご紹介したいと思います。まず一つ目は、適格請求書発行事業者に登録した場合のデメリットを理解することです。

先ほどもお伝えしましたが、適格請求書発行事業者になるということは、売上高が1,000万円以下であっても免税事業者であることをやめて、課税事業者になるということを意味します。

そのため消費税を納税する分手取りが減ってしまいますし、税申告のための事務処理を行う必要が出てきます。仮に適格請求書発行事業者になった場合にどのぐらいの消費税を納税する必要があるのか、しっかりと試算しておくことが重要です。

二つ目は、適格請求書発行事業者の登録をしないで、取引の継続ができるかどうか確認することです。取引先が、適格請求書発行事業者であるかどうかを問わず仕事をお願いしたいというのであれば、必ずしも適格請求書発行事業者として登録しなくてもいいといえるでしょう。

最後に三つ目ですが、適格請求書発行事業所になる場合には、簡易課税制度を検討するということです。簡易課税制度を選択すると、納税する消費税の金額を簡易的な方法で求めることができるので納税に関する事務処理の手間を大きく減らすことができるというメリットがあります。

まとめ

普段フリーランスの仕事をする上であまり意識することがなかった消費税ですが、インボイス制度が導入されることによってその環境が大きく変わることになります。適格請求書を発行できるかどうかによって、取引先の選択肢が狭まるリスクも追うことになりますが、必ずしも適格請求書発行事業者として登録することがいいかというとそうではないので、各自の取り巻く環境を踏まえたうえでインボイス制度の導入までに準備をしっかりと進めていくことが重要になります。何もインボイス制度の導入に向けた検討をしないまま制度施行となってしまうとフリーランスという働き方に大きな影響を与えてしまうことになりかねませんのでぜひ注意してください。

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